バイクのグリス|種類ごとの用途と塗る箇所の目安と選び方

用品店のケミカル棚に、リチウム、ウレア、モリブデン、シリコーンと名前の違うグリスが並んでいます。
ラベルには「万能」「多目的」が混ざり、チューブの色まで似ています。
ここで見る場所は2つだけです。
ちょう度番号(0号から3号などで表す硬さの等級)と、増ちょう剤のタイプです。
ちょう度はJIS K 2220で試験方法が定められた等級で、番号が大きいほど硬くなります。
増ちょう剤は、水に強いか熱に強いか、ゴムに使えるかを分ける要素です。
この2つが読めれば、あとは塗る部位に当てはめるだけで選べます。
本記事では、ちょう度番号の読み方・増ちょう剤ごとの向き先・部位別の選び分けと、合わないものを使ったときに起きることを解説します。

いいバイク用品編集部
「いいバイク用品」は、バイクまわりの用品選びを扱うメディアです。荷物の積み方、カバーやガレージでの保管、盗難対策、電装と季節の装備、日常の整備、グリップやミラーの交換まで、サイズと規格の合わせ方をふまえて編集部が調べてお伝えします。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
バイク用グリスの表記は、ちょう度と増ちょう剤の2つで読む
グリスは、基油に増ちょう剤を混ぜて半固体にした潤滑剤です。
オイルと違って流れ落ちないので、ベアリングやピボット(可動部の支点)にとどまって潤滑します。
逆に言えば、その場に残るぶん、間違ったものを塗ると簡単には抜けません。
ラベルに並ぶ数字は種類が違うので、混ぜて読まないでください。
ちょう度番号は単位を持たない等級です。
使用温度域は℃で、基油の粘度はmm²/sで書かれています。
「2号」と「使用温度マイナス20℃から120℃」は別のことを言っているので、番号だけを見て温度の話まで決めてしまうと選び間違いになります。
そのうえで、「万能」「多目的」「マルチパーパス」は等級ではなく各社の呼び方です。
ここを基準にすると比較になりません。
ちょう度番号は0号から3号まで、数字が大きいほど硬い
| 番号 | 混和ちょう度 | 手ざわりの目安 | 向く場所 |
|---|---|---|---|
| 0号 | 355〜385 | とろりと流れる | 密閉されたギヤ、隙間へ流し込みたい所 |
| 1号 | 310〜340 | やわらかい | 細い可動部、寒い時期に軽く動かしたい所 |
| 2号 | 265〜295 | クリーム状で立つ | ホイールやステムのベアリング、レバー周り |
| 3号 | 220〜250 | 硬く、指で押すと形が残る | 熱と回転で飛散しやすい所 |
二輪の整備で出番が多いのは2号です。
塗った場所に残り、走行の振動でも垂れにくい硬さになります。
0号を露出した可動部に使うと走っているうちに流れ、3号を細いピボットに詰め込むと動きが重く感じられます。
番号は「性能の順位」ではなく、留まりやすさと動きの軽さのどちらを取るかという等級だと考えてください。
増ちょう剤のタイプで耐水性と耐熱性が変わる
| タイプ | 性格 | 使いどころ |
|---|---|---|
| リチウム石けん | 潤滑性と耐水性のバランスが取れた汎用タイプ | ベアリング、各部ピボット |
| ウレア | 耐熱性が高く、長寿命をうたう製品が多い | 熱がこもる回転部 |
| カルシウム石けん | 水で流れにくい | 水がかかる車体下側の可動部 |
| モリブデン配合 | 面圧の高い接触に向く極圧タイプ | スプライン、荷重のかかる摺動面 |
| シリコーン | ゴムや樹脂を膨らませにくい | ゴムブーツ、Oリング、グロメット |
同じ2号でも、この行が違えば別物です。
金属同士の回転部にシリコーンを使うと荷重に足りないことがあり、ゴム部品にリチウム系の石油基油を塗ると膨らんで寸法が変わります。
番号を合わせただけで安心しないでください。
バイクの部位から決めると、買うグリスは2〜3本で足りる
回転する所とレバー周り
ホイールベアリング、ステムベアリング、ブレーキレバーやクラッチレバーの支点、サイドスタンドの軸、シートのヒンジは、リチウム系の2号が汎用として使えます。
ここは荷重と水の両方がかかるので、耐水性の表記があるものを選ぶと安心です。
塗る量は薄く均一で足り、盛るほど良くはなりません。
ゴムと樹脂に触れる所
ミラーの防振ゴム、配線のグロメット、樹脂同士がこすれるカウルの合わせ目には、シリコーングリスを使います。
石油基油のグリスはゴムを膨潤させ、動きが渋くなったりシール性が落ちたりします。
ブレーキキャリパーのピストンやシールに使う指定品は車両ごとに決まっているので、判断がつかない場合は販売店で確認してください。
熱がかかるボルトと端子
エキゾーストのフランジボルトのように熱が直接伝わる箇所では、一般的なグリスは軟らかくなって流れ、焼き付き防止の役目を果たせません。
高温向けと明記された製品を選んでください。
マフラー交換そのものの適合確認はマフラーの音量の決まりと適合を確かめる手順で解説しています。
バッテリー端子の腐食を抑える目的で薄く塗る方法もありますが、脱着の順番や締め付けは種類で変わるので、バッテリーの種類の違いと交換時期の目安を先に読んでおくと迷いません。
「万能」「多目的」の表記が製品ごとにずれる理由
ちょう度は試験方法が決まっていますが、用途の呼び方には共通の等級がありません。
各社が自社の想定でラベルに書いているため、同じ「万能グリス」でも中身の増ちょう剤と基油が違い、使用温度域も揃いません。
片方は120℃までで、もう片方は水に強いことを売りにしている、という差が普通に起きます。
比べるときは、キャッチコピーではなくラベルの3行を見てください。
増ちょう剤のタイプ、ちょう度番号、使用温度域です。
この3つが同じなら、用途の呼び方が違っても近い性格の製品だと判断できます。
逆に、3行のどれかが書かれていない製品は、自分の使い方に合うかを確かめる材料がありません。
合わないグリスを使うと、ゴムが膨れて動きが渋くなる
誤用で起きることは、だいたい4つに分かれます。
ゴム部品に石油基油を塗って膨潤させる、熱のかかる場所に一般品を使って流れ落ちる、露出した部分に塗って砂やほこりを抱き込む、軟らかすぎる番号を選んで走行中に飛ばす、という失敗です。
どれも塗った直後は問題なく見え、しばらく走ってから動きの渋さや異音として出てきます。
チェーンにグリスを塗り込むのも避けたい使い方です。
D.I.D(大同工業)は洗浄に専用クリーナーと柔らかいブラシを使い、ワイヤーブラシはチェーンを傷めるため使わないよう明記しています。
注油はリンクの隙間に染み込ませ、余分は拭き取るという手順です。
メーカーが指定する方法から外れる塗り方はしないでください。
塗り直すときは古いグリスを落としてから重ねます。
この溶剤が樹脂やゴムにかかると白化することがありますので、使う前にパーツクリーナーで使える素材と注意する所の見方を確認すれば失敗しません。
高圧の水を近距離から当てる洗車では、ベアリング内のグリスが流されることもあり、その水をかけてよい場所は洗車のやり方と手順の順番で解説しています。
よくある質問
グリスは2号を1本だけ持っていれば足りますか
回転部とレバー周りだけなら、リチウム系の2号が1本でおおむね対応できますが、その1本はゴムや樹脂に触れる場所には使えません。
使えない場所を補うのがシリコーングリスです。
もう1本が守備範囲を広げ、熱がかかるボルトを触る人なら、ここに高温向けを加えた3本という構成になります。
自転車用や自動車用のグリスをバイクに使えますか
容器の用途表記ではなく、増ちょう剤・ちょう度番号・使用温度域で判断してください。
3行が自分の使う部位に合っていれば近い性格の製品です。
ただし車両メーカーが指定品を定めている箇所には、その指定に従ってください。
グリスの使用温度域はどこに書いてありますか
チューブやボトルの裏面、または缶の側面のラベルに、増ちょう剤の名称と一緒に記載されているのが一般的です。
書かれていない場合は、メーカーの製品ページや技術資料で型番から確認できます。
パッケージの写真だけでは分からないので、通販で買うときは商品ページの仕様欄まで見てください。
まとめ
グリス選びで見る場所は、ちょう度番号と増ちょう剤のタイプ、そして使用温度域の3つです。
番号は留まりやすさと動きの軽さのどちらを取るかという等級で、2号が二輪整備の標準になります。
増ちょう剤は、水がかかるか、熱がこもるか、ゴムに触れるかで決まります。
ぜひ本記事のちょう度番号の表と部位別の選び分けを参考に、自分の触る箇所に合う1本を選んでください。





